adolescent
01.五条悟

 傷つけたかったわけじゃない。
 でも、気付いたときにはいつも傷つけている。そういうことが多々ある。常々ある。
 今日も何の気なしに呟いた言葉がの心臓を穿ち突き刺したのを、俺は後になってから悟った。見る見る内に彼女の顔が歪み、眉を寄せて唇を噛み締める。やってしまった。そう察するだけの判断力は備わっているのに、自分の過失を認めて詫びるというそれだけの行為ができない。できた試しがない。怒りに満ちたの表情をぼうっと眺めている内に、彼女が口を割って、俺は深謝する機会をいつの間にか失っているのだ。
「なんでそう……悟はデリカシーのない言葉がほいほい出てくるの」
「……デリカシーあって得することあんのかよ」
「寧ろなくて得することもないでしょ」
「ヘイヘイ。ソーデスネ。悪かった悪かった」
「二回言う必要ある? ないよね?」
 更なる俺の欠点は――最強と言えども欠点は付き物である。人間なので――、の詰問に対して素直に謝罪すれば良いものを、売り言葉に買い言葉で弥増しの応酬をしてしまうところだ。まるで反抗期の子どもである。相手からの質問を逆に聞き返して自分の否を認めないところ、正論をぶつけられれば全く反省の色を見せない適当な返事で片付けようとするところ。こういう己の悪しき部分を認めていても是正はできないのが、俺の難儀なところだ。
 は諦めたように、此れ見よがしなドデカい溜息をついた。
「もういいよ。悟に期待する私が馬鹿だ」
「ハァ? オマエが俺に何を期待してるって?」
「いつかは自分から悪いって真摯に認めてくれること」
「そんな日来ると思う?」
「思わない」
「いや、そこは思えよ」
 こんな、将来性の塊みたいな男そんじょそこらにいねえぞ。いつかは俺のこの性格の悪さが改善される日が来るかもしんねえだろ。来ないかもしんないけど。
 と思いはしたが、全て自分が蒔いた種だと分かっていたので押し黙った。それにどうせ発言したところで、または怪訝そうに眉を顰めるし、意味なく傷つけ合うだけの押し問答が始まるだけだ。そういう表情が見たいわけでも、傷口に塩を塗り込みたいわけでもない。
 そうして、ふんと鼻を鳴らしてそっぽを向いたが、微かな声を洩らした。目線の先にいる、見知った存在を見つけたときの不意に出る声。俺も彼女の視線を徐ろに辿る。その先にいたのは。
「傑」
 傑だった。
 の呼び声を追い掛けるように、俺の瞳が傑を認識する。教室に入ろうと引き戸に手をかけていた傑は、何やら俺達から身を隠すように扉の影を身を潜めていたが、に気付かれたためかすっと姿を現した。致し方なしみたいな微妙な表情からして、こっそり俺達の口論を聞いていたに違いない。こうやってさも「入りにくかったです」という体を装っているときは、大抵俺に対して遠回りに釘を刺しているときだ。
「おはよう。お邪魔だったかな」
「ええ、まさか。ナイナイ」
「ナイナイ」
「なら失礼して」
「ねえ、それより傑、聞いてよ。また悟が……」
「あ、オイテメー、傑にチクんな」
「またいつものかい?」
 いつものってなんだ、いつものって。まるでこの掛け合いが俺達のお家芸のような言い方をしやがる。確かに端から見ればそう捉えられても仕方ないのだが、当事者同士にそんな意識は微塵もないのだ。実のところ。
 傑はの唇から忙しなく飛び出す俺への罵詈雑言を、目を細めて聞いていた。いつもと変わらぬ光景だ。相手が傑から硝子に変わることはあっても、から洩れ出す内容の本質が変わることはない。不変的な俺の性悪について、連連と愚痴を垂れ流すだけだ。今回その処理係に任命された傑はそれにうんうん頷いて、同意を一番に欲している彼女の鬱憤を晴らそうとしているようだった。
「それはまあ、悟が悪いね」
「だよね?」
「結託して俺を陥れようとすんな」
「でもが言ってるのは全部本当なんだろう」
「そうだけど? 何か文句あんの?」
「開き直んないで。そういうとこ。悟のそういうとこだよ」
 じとりと半ば閉じられた瞳で俺を睨め付ける。がよく俺に向ける瞳だ。俺の不遜な悪辣を手っ取り早く諌める方法。それが俺の芯にまで届いたことは一度たりともないのだが。
 またも俺の子ども心に火がつき、その目に涙の膜ができるまで甚振ってやろうかと机に肘を付きながら思考を巡らせていると、敏感にそれを察知した傑が待ったをかけた。俺との間を取り持とうという魂胆ではなく、この面倒から早く解放してくれという意思の表れだった。互いに納得できる終着地点を提示するのは、硝子にはできない、傑だけが成し得る役目だ。アイツは面倒事を感知するとすぐに逃走を図ってしまうから。
「ふたりともその辺で。これ以上は何の得にもならないだろう」
「……傑がそう言うなら」
「喧嘩するほど仲が良いのは良いけど、周りに迷惑だけはかけないようにな」
「ねえ、待って。傑の目には私と悟がそういう仲の良さに見えてるの?」
「違うのかい?」
「違うよ。心外だよ」
 と傑の会話に今割り込んでも、またあれやこれやと戒められると踏んだので傍観するだけに努めていたのだが、聞き捨てならない言葉が鼓膜に届いた。眦がひくつく。傑ではない、の方の言葉にだ。何だって? と乱戦に持ち込もうと意を決するが、口を開くより先にと向かい合っている彼女越しの傑が諭すような視線を此方に寄越した。その意図を察して、仕方なく閉口してやる。そして俺を置いてけぼりにして、ふたりは会話を継続した。
「少なくとも本気で嫌いではないだろう」
「うーん、まだその領域まで達してないけど。たまにド突き回したくなる」
「だってさ、悟」
 そうして、傑が俺に向けた視線には厭らしい感じの色が宿っていた。高みの見物をするときに漂わせる感じに近い。傑は時々、こういう表情をする。
 の言葉を強調するように、俺に理解を促しているのか、はたまた何かを俺から述べさせようとしているのか、真偽は不明だが傑はそんな風に言った。は傑が会話の接ぎ穂を放り渡したのを察して、俺の方を振り返る。何故だか居たたまれない気持ちになった。何でだろう。
「……何が言いてぇの」
「少しは改める気になったろ」
「……なってねーし。勝手にド突き回してろ」
 息をするように悪態をつくと、は拳を振り上げてぽかぽかと俺の肩を叩いた。痛くも痒くも何ともなかったので、掌印を結んで無限の壁を作ることはしなかった。彼女からの制裁を甘んじて受け入れる。予想だが、俺が無下限呪術で僅かでも抵抗を示せばは更に怒りを発露させると思った。やはりこうして受容したことは模範解答だろう。彼女を憤怒させている時点で正答には程遠く、バッテンが付随する答えなのだが。
 傑が是正を促す要因として示唆したのは、きっとド突き回すことにではなくて、まだその領域に達してない、の部分なんだろうと、薄ぼんやり思った。まだ、ということは即ち、いつそうなっても可笑しくないということ。いつが俺を嫌いになってもおかしくないぞ、と脅しているのだ。
 ――悟、君はそうなって欲しくはないだろう?
 これはあくまで蛇足だが、俺の脳内の傑はそんな風に俺を諌めているような気がした。実際、傑が意図するところがこんな奥深くまで潜り込んだものなのかは定かではない。俺の妄想で想像に過ぎない。だから何となく、そう思っただけだ。
 午前の座学を終えると、は午後から単独任務があるからと早々に席を立った。俺に対して抱いていた負の感情は鳴りを潜めている。手を振って見送る傑に反して、俺は考えずとも自然に生まれ出る憎まれ口をそのまま言葉にした。はべっと舌を出して教室から出て行った。かわいくねえ。
 珍しく俺も傑も午後は何の予定も立っていない。最寄りのゲーセンか何駅か先のスポッチャでも行くか、と午後からの目処を立てた最中のことだ。
「悟は、失くしたものの大事さに後から気付くタイプなんだな」
「……あんだって?」
「物をぞんざいに扱って、壊れたり失くしたりしてから後悔するタイプってこと」
「…………今そんな話だった?」
「ただの独り言だ。忘れてくれて構わないよ」
 傑の口調や声の雰囲気から察するに、俺への戒告でも何でもなく、本当にただぼんやりとそう感じたから口にしただけの、呟きに近い言葉だった。けれど、それを聞かされた本人には喉に小骨が刺さっているような、違和感に近いもどかしさが体内を蠢いている。何だってそんなこと。忘れろなんて到底無理だった。恐らくそれは、このときはまだ気付いてなかったけれど、俺の核心を突く内容だったから。
「……悟、悪いね。今のは本当に気にしなくとも……」
 そうなるよう仕向けてきたのは傑だろうに、俺が黙りこくってしまうと、少しの焦慮を湛えた表情をちらつかせた。今俺は自分がどんな表情をしているのか分からない。傑の反応からするに、決して明るい表情ではない。それだけを勘の良い頭で悟った。
 傑の言う通り、気付くのは全て後になってからだった。だから、このときの俺は何にも分かっちゃいなかった。
 ただひとりの親友を孤独の渦中にやっていたことも。
 ただひとり傷つけてばかりいた女子に蓄積されていく感情のことも。
 何一つとして俺は気付けなかった。
「分かってるよ」
 何も分かってないくせに。そうして何事も無かったかのように振舞った。


02.夏油傑

 意図せず洩れた溜息に、傍らのその人が顔を上げた。次いでどうかしたのかと顔を覗き込まれる。邪念の一欠片も見出だせない、純粋な心配から成る表情。私はそんな傑の姿かたちにほっと胸を撫で下ろした。ほとんど無意識に飛び出ていた溜息の行方も原因も忘れてしまう程には、私は安堵してしまった。
「何でもない。ありがとね、傑」
「そう? なら良いけど……は溜め込みがちだからね」
 たまには息抜きも必要だと、傑はやさしく提言する。彼は日頃から私が吐き出す恨み節の聞き役であることが多い。その際、傑は大抵の場合に私の意見に余計な口を挟むことなく同調したり肯定したりしてくれることが多いので、何だか変な感じだ。決して嫌な感じではなくて。彼が私に関心を持って接してくれているという確かな実感が、私の背中をこそばゆくさせる。
 実際のところ、私は思ったことを何でも口に出してしまう性分であるため、傑が言うほど溜め込みがちだとは思わない。ストレスは蓄積されるより先に、言語化して誰かしらに同意を得ることで解消されてしまうのだ。だから、寧ろ知らずの内に負の感情が累積してしまうのは傑の方なのではないかと思った。彼が愚痴らしい愚痴を零す光景を、少なくとも私は目にしたことがない。
「傑こそ大丈夫? 私なんかよりよっぽど溜め込みやすい体質な気がするけど……」
「そんなことないよ」
「ほんと? 何か痩せた気もするし、元気もないような」
「夏バテさ。心配してもらう程じゃない」
 傑が波風を立てないよう穏便にあしらおうとしているのが容易に伝わってきたので、私はそこで言及を止めた。これ以上は面倒な女と烙印を押されるはめになりかねないという判断だ。「愚痴ならいつでも聞くよ」と、いつも自分が聞いてもらっている側の立場なのでその謝礼も込めてそっと意向を添えると、傑は「ありがとう」と微笑んだ。私が目の当たりにする機会の多い笑顔だ。社交辞令の際によく用いている。特段気に病むこともないのだが、私としては細目の傑が更に狐目に細めて心の底から大笑いしている顔の方が好ましくあるので、残念と言えば残念だ。その顔を引き出すのは私ではない、彼の親友であることは周知の事実である。
 傑はズボンのポケットを弄り、何かを取り出した。それとは反対の手で私の手首を掴み、手掌を開くよう促して、取り出した何かを握らせる。小さな球体状の感覚に疑問符を浮かべながら正体を確かめると、どうやら飴玉のようだった。パステルイエローの包装紙に包まれている飴玉は、子どもの頃は毎日のように口内で舐め回していた身近なお菓子なのに、今となっては懐かしささえ感じる。不思議なものだ。
「なにこれ」
「見ての通り、飴。ストレスのお供にいいよ」
「風邪とかじゃなくて? 初めて聞いたなあ」
「そりゃ私が今勝手に考えたからね」
「……ありがと。これ何味?」
 包装紙を開いて、親指と人差し指で摘み上げた飴玉を口のなかに放り込むのと、傑が「呪霊の味だよ」と呆気らかんと発言したのはほぼ同時だった。お陰で勢いそのままに入り込み、食道に支えそうになったため、慌てて咳込んで一命を取り留めた。いくら冗談と言えども時と場合は考えるべきであるし、何より笑えない。口内に戻ってきた飴玉はしっかり人工的な檸檬味が染み付いていた。
「……ちょっと。いくら何でもひどい」
「いや、すまない。まさかここまで良い反応が返ってくるとは思わなくてね」
「良い反応っていうか……普通にビックリした。窒息死してたら一生怨んでやるとこだった」
「ごめん。悪かったよ」
 お詫びに、と更にポケットから出てきた飴玉は、今度は赤味の強いピンク色の包装紙に包まれていた。無難に苺味か林檎味か。舐めずとも呪霊の味ではないとは断言できる。ありがたくそれを受け取った。
 口内の飴玉を舌で転がしながら広がる果汁の味に、ふと思い至ったことがある。傑がこんな似合わないものを携帯していた理由。先の発言に少なからず影響を受けているが、彼がいつも体内に取り込んでいる呪霊の味を打ち消すためにこれを使用しているのではないか。そんな決して明るくない理由が脳裏を過ってしまった。ただの憶測でしかなく、真偽を問うことも躊躇われるほどに、もし推測が正しければ不憫で胸が締め付けられる理由だ。それに対して私は何かできるわけでもないのだし。唇は固く結んで、徐々に形が窄んでいく飴玉の味を漫然と享受していた。
「美味しい」
「なら良かった」
「自分では滅多に買わないから、久々に食べるとこんなに美味しかった? ってなる」
「味も長持ちするし、私は結構好きだけどね」
「そうなんだ? 誕プレ、飴の袋詰めにしよっかな」
「いや、さすがにそこまではいいかな」
「どっちよ」
 互いに顔を見合わせて笑った。仄かに頭の片隅を占めていた薄靄が少しだけ霧払われる。傑が笑う姿は、私が見たいと思っていた笑顔に酷似していて、彼の心を開くきっかけになったのだろうかとちょっぴり誇らしくなる。
 私と傑以外の同級生は皆出払っているこの空き教室で、特に宛もなく会話を漂わせるこの瞬間って、きっと学生時代にしか味わえない経験なんだろうな。高専は一般的な高校生と比べて特殊な身分だから、余計にそう思う。卒業が近付けば近付くほどに、学生は社会人の前段階を昇っていくし任務も忙しくなる。徐々に同級生全員で顔を合わせる機会は減っていくだろう。傑とこうやってふたりでぼんやり過ごす時間も、あと何度訪れることやら。悲しくはないけど、寂しくはある。
 傑は私のいやに感傷的な様子を逸早く察した。とは言っても彼以外にこの場に留まるひとがいないので、必然的に彼しか一番になり得ないのだけれど。でも、大勢といるときでも空気を読んだり、話をそれとなく良い方向に持っていったり、誰かの異変に気付いたりするのはいつだって傑が一番だ。
「ぼうっとして。どうかした?」
「んー、学生生活が終わったらこうやって駄弁ることもなくなるのかなあって」
 センチメンタルを抱く要素などひとつも見受けられない会話だったためか、傑は驚いたようだった。目をぱしぱしと瞬かせる。次いで「ふうん?」と意地悪な色を灯した声で笑った。心なしか、表情も優勢に立っているときの傑がする顔になっている。言葉選びを間違えた気がした。
「まだ一年以上も先のことを考えてるのか。卒業式前日が見物だな」
「……傑、時々そういうこと言う。悟の悪いとこ移ってんじゃない?」
「冗談だよ。寂しいのは皆一緒さ」
 そうだろうか? 傑以外の面子を脳内で並ばせてみる。皆が皆自由奔放で、精神面で自立したひとばかりだ。無論そこに傑を含めても同じ結果。私だけが浮いている。きっと皆、学生の野暮ったい制服なんて脱ぎ捨てて、早く術師として独立した生活を送りたいというひとばかりのように思う。理由は人それぞれだろうけど。こんな感傷に浸ってるのは私ぐらいではなかろうか?
 傑を見遣る。彼がああ言ったということは、彼も一匙でも寂しいという感情を抱えているのだろうか?
「傑も?」
「ああ、私も。勿論」
「そっか……。そうは見えないけど」
「人を見た目で判断するんじゃないって話」
「それ前髪のこと? あ、嘘嘘、ごめんって」
 彼は猫が仕出かした悪戯を咎めるように、私の髪を避けて額にデコピンを食らわせた。痛くない、軽いやつだ。悟とよくやり合ってる。私がそのかわいい仕置を受けたのは初めてだった。
「冗談は置いといて。……でも、卒業しても変わらないと思うよ」
「そうかなあ」
「そうだよ。悟も硝子も、君を置いて行ったりしない」
「……傑も?」
 純粋な疑問だった。尋ねてから、傑は一拍置いてから微笑みを浮かべた。勿論さ、と私の問いに肯定する返事を添えて。大人びた表情で、私の鼓膜にこびり付くような柔らかい声で、そう言ったのだ。
 ――ねえ傑。きみは確かにそう言ったんだよ。
 深い微睡みから意識が起こされた。長い夢を見ていた。永くはない、永遠に辿り着くことのない未来を語る私と傑を、夢の中で見ていた。実際の記憶を頼りに彩られたその夢は、未来に着地した私からすれば、とても滑稽だった。
 だって、傑はいない。隣にいない。
 遥か遠くを見つめて歩き出した傑には、私を置いて行ったとか、そういう概念もないだろう。こんなくだらない会話、忘却の彼方に追い遣っていても何ら可笑しくない。その程度の、ただの口約束よりも軽い日常会話だ。
 それでも私は信じていた。卒業しても術師として一人でやっていくことになっても、任務終わりや休みが重なった日には皆で集まって、法的に許可が降りた酒を酌み交わしたりカラオケオールしたりするんだろうって。そういう未来を思い描いていた。
「……嘘つき」
 一人でに呟いた言葉は、誰にも届かない。私しかいない自室では誰にも。
 ポケットを弄る。いつの間にか常備するようになった飴玉を取り出して、口に放り込んだ。今日はオレンジ。柑橘の香ばしい匂いと独特の味が充満する。その味を噛みしめる度、私は忘れられない思い出が浮かび上がって、じんわり目頭が熱くなるのだ。
 嘘つきでもいい。裏切り者でもいい。会いたい。ただそれだけなのに。
 非力で無力な私は、あの日の傑を思って、また会えますようにと願うほかないのだ。

2020/02/25